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大阪・関西万博のイエメンの物販コーナー。「ハウマッチ?」と聞くと、値段交渉が始まる=2025年5月18日午後0時48分、大阪市此花区、岡純太郎撮影
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夢洲から

 大阪・関西万博の会場で、大阪人の心をときめかせる値切り交渉が繰り広げられている。

 中東の国、イエメンの物販コーナー。青や緑、ピンクなど色とりどりの石を埋め込んだ指輪や首飾り、コーヒー、ハチミツと様々な特産品が並ぶが、ほとんどの商品に値札がない。

 そして、スタッフの多くは日本語が話せない。買いたい場合は、英語の「ハウマッチ?(いくら?)」などから。スタッフが「翻訳機」と称する電卓で値段を示してきて、交渉が始まる。

 母国では値切りは当たり前だといい、攻防の末に安く買える時もある。SNS上でも「大阪人の値切り魂に火をつけている」などと話題を呼ぶ。

 ニュースで知るイエメンは、内戦が続く国。空爆の映像をよく目にし、日本の外務省も全土に退避勧告を出している。

 ただ、ここに漂うのはにぎやかで、ほがらかなバザール(市場)の雰囲気。スタッフのアブドゥルサラム・アリさんは「値札がないから生まれる会話もあって、楽しいですよ」と笑う。

 うまく英語が出てこずに日本語で「もっとまけてよ!」という人とも、自然と会話を続けるスタッフたち。「良い物を安く」の精神に国境はないな、と感じた。そしていつか、イエメンのバザールに行ってみたくなった。

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 世界中の人々が集まり、連日多彩なイベントが開かれる大阪・関西万博。会場の夢洲(ゆめしま)で取材に駆け回る記者たちが、日々のできごとや感じた悲喜こもごもを伝えます。

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